土方歳三と樋口一葉が艶姿“鬼あし”プロジェクト
(2009年8月)

2009年8月31日 (月) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横僑亜ヽС據鬼あし一門会
 そうさ、一葉さんが見た木製織機、それが豊田佐吉さんの始めての発明品、明治23年11月11日に完成した、豊田式木製人力織機さ、佐吉さんは、早速、特許を出願し、明治24年5月14日に、時の農商務大臣は陸奥宗光から特許証番号1195で許可された。今でも、その出願書類と許可証は豊田佐吉記念館に陳列されちゃいるが、文字製図とも佐吉の自筆さ、でもって、その作図は近代製図法に程遠いや。

2009年8月29日 (土) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横毅后^賤奸鬼あし一門会
 そうなの、一階の土間の薄暗い処に、木製の織機が確か、3台置いてあって、年嵩の女が3人、キョトンとした顔を、私に向けて、一人が、「どなた?」って尋ねるじゃない。針仕事で、こちらが織った反物を扱ってる者だ、って答えると、「主人は外出しています」、でもって、外出先と帰宅時間を尋ねると、「恐らく、上野の図書館辺りで、暗くなるまで帰らない」って云うのさ。

2009年8月28日 (金) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横毅検〆仍亜鬼あし一門会 
 まあ、今じゃ聞こえないが、昔は、田舎の道を歩きゃ、必ず、どこかしらから、ばったんばったん、ってぇ云う、手機を織る音が聞こえたもんさ。そんな音が、浅草は北千束のしもた屋から、聞こえてくる、それも一台じゃなく数台、おまけに、ばったんの音のテンポが速く、軽やか、でもって、一葉さんは、そのしもた屋の障子戸に、思い切って手を掛けた。ぐぐっと、横に滑らすと、中から織子の女と目が合った。

2009年8月27日 (木) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横毅掘ヽС據鬼あし一門会
 へ!そうですかい、新感覚の木綿の反物に一針惚れて、織手の豊田佐吉さんを一目見たさに、本郷菊坂から北千束まで、飛んで行った、まあ、それくらいの行動力がなけりゃ、5千円札の肖像にはなれねえ、って訳だ。まあ、当事の北千束ってぇ処は、吉原遊郭以外は田圃だらけ、噂の佐吉さんの居所を探し出すのに、大した時間はかからなかった。薄汚い2階建ての、しもた屋の奥から、布を織る織機の音が聞こえて来る、ドラマだねぇ。

2009年8月26日 (水) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横毅供^賤奸鬼あし一門会
 そうよ、その“やろまいか”なの、何て云うか、女将さんが持ってきた、新しい木綿の反物を見て、触って、針を通している内に、この反物を織ったのは、どんな人かな?って、興味が湧いた、って云うか、俗っぽい云い方だと、一目惚れ、まあ、反物が相手だから、一針惚れ、ってのかな。でさ、女将さんから、いろいろ織手の噺を聞いて、佐吉さんの事が、ある程度、分かると、もう、合いたくてたまらない、ってんで、北千束まで行った。

2009年8月25日 (火) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横毅機〆仍亜鬼あし一門会
 へ!よく云うよ、市川団十郎はないやな、まあ、豊田佐吉さんは、遠州は浜名湖の西岸、今は湖西市って処だが、この辺り、ってぇ、昔から、モノづくりの本場、手の込んだ木工細工の伝統、それに、なんたって、住んでる奴の気性さ、とにかく、新しいモノにゃ目が無い、今すでに人がやってる事なんか、ぜんぜん興味がねえ、とじかく自分が、本邦初ってモノやコトをやろまいか!って処さ。

2009年8月24日 (月) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横毅粥ヽС據鬼あし一門会
 なるほど、一葉さんと佐吉さんの馴れ初め、ってぇのは、木綿の反物が取り持つご縁、って訳だ。まあ、男女が取り成すご縁なんてのは、蓼食う虫も好き好き、割れ鍋に綴じ蓋、大魔羅に小巾着、出逢い頭、ってのもあらぁ、まあ、一葉さんは、その女将さんの、やもめの佐吉さん、って言葉に、何かしら因縁めいた閃き、女の勘だな、を感じた。で、いろいろ佐吉さんの身の回りを問い合わせると、出身は遠州、湖西の吉津村、浜名湖の市川団十郎張りの色男、だってね。

2009年8月22日 (土) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横毅魁^賤奸鬼あし一門会 
 そうなのよ、ある日、針仕事のご贔屓の女将さんが、いそいそとした様子で、訪ねて来てさ、「ちょいと、一葉さん、この木綿の反物、ちょいと話題になってる“やもめの佐吉さん”のお手製の代物なんだけど、とにかく、織り目のきめが細かく、織りむらがなく、手触りがしっとり、うちの旦那なんか、お前の若い時の肌触りにそっくり、とか何とかお世辞を云うだけどさ、一枚、こさえてくんない」、それが、あたしと、佐吉さんの馴れ初めの始まりさ。

2009年8月21日 (金) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横毅押〆仍亜鬼あし一門会
 まあ、そんなこんなで、かつかつの生活だが、母娘3人が何とか、糊口をすすぐうちに、かれこれ3年が過ぎ、明治26年になると、春先から、針仕事のご贔屓が、今までと、ちょいと肌触りの違う、反物を持ち込むようになった。まあ、素材は木綿なんだが、織り上がった感触が、何て云うか、きめ細かい上品さがあるってんで、針仕事するのも、何か楽しくなる、で、聞いてみると、遠州から来た男やもめが、北千束で織った反物だ、って云うじゃん。

2009年8月20日 (木) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横毅院ヽС據鬼あし一門会
 まあ、今でもそうだが、女3人で、針仕事に洗濯を請け負ったって、多寡のしれた手間賃仕事さ、おまけに、一葉さんは、女流作家としてデビュー仕立て、四六時中、針仕事に洗濯、って云う訳には行かない。結局は、稼ぐ金より、出て行く金の方が多い、ってんで、お決まりの質屋通い、この役目が一葉さんさ、どう云う訳か、質屋の番頭さんに気に入られてさ、一方、作家デビューは、ほぼ順調で、桃水さんとの仲も、すったもんだは、あったが、撚りが戻った、まあ、色恋の関係はなかったようだが。

2009年8月19日 (水) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横毅亜^賤奸鬼あし一門会 
 明治23年か、あたしは18歳の娘盛り、だったねえ。この年の秋には、今じゃ、文京区の観光名所になっている、本郷菊坂のしもた屋に引っ越して、母と妹と3人で、ご近所から針仕事や洗濯を請け負って、生活の糧にした、確かに貧乏だったけど、女流文学者を目指す、腹を括った頃だ、まあ、機織ができりゃ、反物を織ってたかもしれないけど、でもさ、凄いじゃない、佐吉さんは、何たって発明家になったんだもの。

2009年8月18日 (火) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横苅后〆仍亜鬼あし一門会
 そうか、全く売れなかったのか、その木製織機の改良版、ってのは、佐吉さんの最初の発明品、確か完成したのは明治23年11月11日、佐吉さんが24歳の時だった。で、鬼あしのご隠居が云ってたっけ、11月11日ってぇ日は、11のぞろ目、この11は漢数字だと、十一で、早い噺が、あっしが造った新撰組の局中法度で、散々強調した、士道の“士”に対応してるのさ。

2009年8月17日 (月) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横苅検ヽС據鬼あし一門会
 分かるねえ、分かるよ、一葉さん、田舎臭い無骨さ、汗臭い薄汚さ、まあ、こんな男が、世の中を変える、ってもんさ。まあ、あたしも、佐吉さん同様、晩生の男でね、十代の頃には、女っ気にゃ、まったく興味ってぇもんが湧かなかったんだが、二十歳を超えると、妙に色気づいた、って云うか、四六時中、頭の中は女の事で満杯、なんだが、肝心の男女の交わりの細部の段が、未経験さ。佐吉さんも、そうさ、せっかく完成した木製織機の改良版が、全く売れない、その原因も分からない、って頃さ。

2009年8月15日 (土) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横苅掘^賤奸鬼あし一門会 
 そうなの、土方歳三さんの云う通り、二十歳を過ぎて数年、まあ、殿方の好み、ってのも変わって来てさ、それまでは、江戸の本流、商家の跡取り息子、粋な痩せ型の二枚目の男に、ぞっこん、って感じだったのが、何て云うか、汗の匂い、職人のゴツゴツした、田舎臭い無骨さ、が、妙に気に入るようになってさ、そんな折さ、東京図書館の閲覧室で、目をギラギラさせた、汗臭い男が、外国の機会雑誌を、食い入るように見入ってた。

2009年8月14日 (金) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横苅供〆仍亜鬼あし一門会
 分かるよ、鬼あしのご隠居、蓼食う虫も好き好き、本当に男女の相性、ってぇ奴は不思議なものさ、確かに、一葉は、絵に描いたような二枚目、あっしや桃水さんに心が動いた時があった、まあ、ガキの頃の女ってぇ奴は、まずは男を見てくれで、判断する。で、子供から女、要は雌として完成してくると、自分本来の好みがどういう雄か、分かって来る。まあ、たまたま、一葉さんは、野暮ったい、理科系の匂いがプンプンする佐吉さんに、婦る池が反応した、って訳さ。

2009年8月13日 (木) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横苅機ヽС據鬼あし一門会
 おっと、一葉さん、この鬼あしのご隠居の目は、何でもお見通しさ、その上野の東京図書館で、貴方が源氏物語を読んでいる最中、近くの閲覧席で、大きな声がブツブツ、聞いた事も無い、耳障りな方言さ、ご当人は、年の頃は二十代、田舎者丸出しの形振り、貴方が誑かされた、桃水さんの二枚目姿とは相反する野暮天姿、でもね、ここが男女間の機微!ってぇ云うか、蓼食う虫も好き好き、って云うか、なあ、土方歳三さんよ。

2009年8月12日 (水) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横苅粥^賤奸鬼あし一門会 
 まあ、土方歳三ったら嫌だよ、それじゃあ、まるで、あたしと豊田佐吉さんが、恋仲になったかもしれない、ってぇ変な誤解を、世間様に産むじゃない。確かに、あたしと佐吉さんは顔見知り、そうね、最初に佐吉さんと会ったのは、上野にあった東京図書館の閲覧室だったわ、確か、明治25年の師走さ、その頃のあたしはさ、あの女誑しの桃水さんと、縒りが戻ってルンルン気分、小説の闇桜も評判良く、ようやく、前途洋々って時だった。

2009年8月11日 (火) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横苅魁〆仍亜鬼あし一門会
 ったく、何かよくは分からねえが、ええ、この一葉さんと、その何だ、トヨタなんたらの。佐吉って方が、もしかすると、恋仲になったかもしれねえ、って噺かい、鬼あしのご隠居、まま、この土方歳三さんにしても、生まれていきなり、女を口説く、ってぇ訳にはいかねえやな。しかし、まあ、初心な男と女が、惚れあっちゃいるのに、恋仲になれねえ、ってのも。乙なもんだぜ。

2009年8月10日 (月) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横苅押ヽС據鬼あし一門会
 一葉さんよ、この鬼あし一門会のご隠居はさ、男女の逢瀬、色恋が絡む間柄、顛末にゃ、勘が働く!ってぇ云うか、今まで、何処の誰も気付かなかった、あの男とこの女が、好い仲だった、恋のご沙汰があった、はたまた、ご縁が無くて好き合っちゃぁ、いたが、契りには至らなかった、とか、ズバっと読めるんだ。でね、貴女と豊田佐吉さんは、まあ、お互いが好感を持った、んだが、色恋に浅かった、と云うより、初心だった、まあ、時は明治26年11月末、処は浅草鳳神社の酉の市、ほら、この年は、三の酉まであっただろ。

2009年8月7日 (金) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横苅院^賤奸鬼あし一門会
まあ、どうして知ってるのよ、あたしの秘密、って云うか、今までの樋口一葉の研究者が全く、見つけられなかった、あたしの、淡い初恋、カルピスの味みたいな、その相手の御仁が、今じゃ、世界のトヨタ、そのトヨタグループの礎を築いた、世界の織機王、発明王、豊田佐吉だ!って事を、でもさ、一方的に恋心を持ったのが、あたしの方で、佐吉さんにゃ、女が出入りする隙が、ありゃしない、四六時中、織機の改良で頭が一杯さ。

2009年8月6日 (木) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横苅亜〆仍亜鬼あし一門会
 まあ、なんのかんのと御託を並べ、奇麗事を云っても、古今東西、先立つものは、金、お足さ、足の無いランナーは走れねえ、お足の無い奴に大事は出来ねえ、のが世の習い、ってモノさ。紫式部も樋口一葉も、美貌と才能、教養は遜色ないが、一葉さんに致命的に無かったのが、男経験とパトロンさ、でもって、源氏物語を超える小説を書く、ってんだから、端から無理、無謀な噺よ。ま、似たような御仁が、そん当事の千束村にいたが、一葉さん、覚えてるだろ、豊田佐吉って、今のトヨタグループの創始者を!

2009年8月5日 (水) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横械后ヽС據鬼あし一門会
 そこなんだな、辛らい処は、今と違って、昔は貧乏人には、情報なんてぇのは、縁がなけりゃ、ないで、済んだんだが、一葉さんのように、志、こころざし、だな、まあ、ミッションっても云うが、を持つと、噺が急に難しくなる。結局、貧乏人の一葉さんが吉原の情報を収集するのは頓挫、それで、一葉さんが考えた事にゃ、お金を稼いでから、情報を集めよう、でもって、その手段が、短編小説の雑誌掲載さ。

2009年8月3日 (月) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横械検^賤奸鬼あし一門会
 そうか、情報は金の流れの中を泳いでるんだ!確かに、映画やテレビの時代劇で、そっと、お足を握らせて、何某かの情報を掴もうって、シーンは多いわよね。あたしもそうよ、紫式部の源氏物語を超える作品を、吉原を舞台に書いて残す、ってミッションは盛ったけど、そんためには、吉原の一部始終が分かっちゃいないと、でもさ、当時の素人娘は、そう簡単に、吉原の中に入って、ああですかこうですか?って聞く訳にゃ行かなかったのさ。

2009年8月2日 (日) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横械掘〆仍亜鬼あし一門会
 鬼あしのご隠居、分かってるさ、分かっちゃいるけど、止められない、ってぇ心持さ。まあ、あたしが棲んでた頃の幕末の江戸、日本は、今から見ると、情報は金で買うか、女を誑かして、手にするモノだった。だから、金の無い貧乏人で、女に持てない奴に取って、世間は情報鎖国、情報の暗黒大陸さ。あたしはね、こん事に気付いたのは、最初の松坂屋奉公に上がった時だった。世の中、金の流れの中を情報が泳いでいる、まあ、江戸じゃ金を、お足って云うから、あっしが、鬼あし歳三!って云われたのが、こん時さ。

2009年8月1日 (土) 鬼あしプロジェクト!第二幕“土方歳三の色恋道中”
癸横械供ヽС據鬼あし一門会
 確かに、一葉さんの云う通り、英語じゃ、情報=Infomation、なんだが、今じゃ、猫も杓子も、ITと御託を並べる、インフォメイション・テクノロジーには、情けの入る余地が無いやな。金さえ出しゃ、湯水のごとく沸いて来る情報が、インフォメイションで、どっこい、金じゃ買えない情報が、Nach Richit、って訳さ。じゃぁ、一体全体、金以外の何で、Nach Richt、をモノにするか、土方歳三さん、分かってるねぇ。