コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.692

◎NHK大河『功名が辻』、山内千代は戦国長距離走チームの女性采配者ですよ! (その3)
〜情報センスの飛脚は脚が達者、だけでは勤まりません〜

 1月8日からNHKテレビの大河ドラマ『功名が辻』の放送が始まりました。主人公の山内一豊と妻の千代に扮する主役の上川隆也さんと仲間由紀恵さんペア、まさに適役と感じました。実は、さる民放が数年前、『功名が辻』を放送していましたが、その時の千代役は壇・・と言う背高女、一豊役は榊原郁恵さんのご亭主の渡辺・・と言う肥大漢。この大柄ペアは全くのミスキャスト、一回しか見ない内に、確か3ヶ月ほどで放送が終わっていましたよ。

 さて、主人公の山内千代が和装で馬と並ぶ銅像が高知城内、大手門を入った三の丸の真下に建っているはずです。現役の市民ランナーだった1999年10月、シマントの100kmウルトラを走った帰り、土佐の中村から電車で高知駅に着き、新宿行き深夜高速バスの待ち時間で高知城を見物に行った途中でした。予想以上の太り身に野暮ったい着こなし、老婆じみた顔つきに落胆しましたが、馬の脚の太さは印象に残っています。

 前回紹介した千代の情報センス、その真髄は家来たちが留守中の家族たちを心配しないように、国元全体の様子を徹底的な描写スタイルで面白可笑しく遠征中の一豊に報せた中身です。「・・某の馬が暴れた、・・某の猫が六匹の仔猫を産んだ、・・某の畑で大きな西瓜が取れた、・・某の倅と・・某の娘が良い恋仲だ、・・某の婆さんの腰が伸びた・・」と、実に他愛のないローカルニュースを千代が自分で選りすぐった飛脚に運ばせたのです。

 となると、千代が選りすぐった飛脚の選考基準が気になりますね。脚達者で脛自慢、1日に20里を進むだけの走り虫では絶対駄目!他に重要な特技、が必要です。読者の皆さんはお分かりですよね。そう、自分でローカルニュースを見付け取材し、千代に報せ、千代が情けを被せて認めた文面を届け、遠征中の一豊が家来を集めて読み上げたニュースの当事者・・某に、そのニュースの感想を聞きだし、これを国元に返信で届ける特技です。

 さあ、この特技を持つウルトラ走者団の話は次回として、一豊が出陣し功名を上げた戦場を北から南に並べると、敦賀の金ヶ崎城、湖北の賤ヶ岳、小谷城、姉川、美濃の関ヶ原、伊勢の長島城となります。これら古戦場を巡りつつ、本州のど真ん中を日本海の若狭湾から琵琶湖、木曽三川の揖斐長良木曽川を経て太平洋の伊勢湾までざっと120kmを走る北陸東海クロスアスロンを開催します。皆さん、日本海から太平洋まで戦国ウルトラ走者団を再現しませんか。


 <走談家>      藤田 俊英 (06/01/16)





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