コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.691

◎NHK大河『功名が辻』、山内千代は戦国長距離走チームの女性采配者ですよ! (その2)
〜千代の情報センスがウルトラ走者団に繋がります〜

 年末年始、NHKテレビは8日からスタートする大河ドラマ『功名が辻』の前宣伝を煽っていました。主人公の山内一豊と妻の千代に扮するは、主役の上川隆也さんと仲間由紀恵さん、主人公を取り巻く助演俳優陣も毎年の事ですが豪華なキャストですね。ですが、未だに戦国時代随一のウルトラ走者、田中孫作をどなたが演じるかが分かりません。脚本家の大石静さんは、孫作の1日20里を走る健脚をご存知なんでしょうか?

 さて、主人公の山内一豊、その騎馬銅像が高知城の追手門近くに建っているはずです。初めて対面したのは十数年前、現役の市民ランナーだった頃です。9月に土佐の馬路村で開催される『おらが村心臓やぶりマラソン』に参加するため、新宿の小田急ハルクの前から深夜高速バスに乗り、高知駅に着くのが朝の7時前、馬路村行きの専用バスが来るまで、高知城を見物に行った途中でした。左手に長槍を持っているのが印象に残っています。

 馬路村から戻り、長槍の騎馬像のお陰で司馬遼太郎の歴史小説『功名が辻』を再読し始めますと、気になる件を見つけました。それは妻千代の情報センス、です。秀吉の出世と共に家来の一豊も功名を遂げ、一角の城主に立身した一豊は家来を率い、秀吉に抵抗する敵国に長期遠征に出かけます。通常、留守城と遠征先の間には軍事上の報せが交わされますが、山内家では軍事以外に千代が認める情けの報せが、遠征中の家来を奮い立たせます。

   千代は家来たちが留守中の家族たちを心配しないように、国元全体の様子を徹底的な描写スタイルで面白可笑しく遠征中の一豊に報せます。千代の情けが篭った報せを、一豊は遠征先で家来を集めて読み上げた、のです。一豊の口から国元の様子が手にとるように報らされた家来は、便りに秘められた千代の情けを報り、情けに報いようと戦陣奉公に励み、やがて無敵の山内家臣団と恐れられ、「山内家は女大名」との噂が一世を風靡しました。

 さあ、千代が育成したウルトラ走者団の話は次回として、山内夫妻が始めて采配した城下は近江長浜です。この長浜、今は黒壁スクェアで観光客が一年中溢れていますが、特に4月14日〜16日の曳山祭に人出が殺到します。そこで、初日に曳山祭を見物し、彦根城下で一泊し、二日目は鈴鹿山脈を越えて牧田川やまざくら街道を関ヶ原まで走るフェスタスロンを開催します。皆さん、関ヶ原の古戦場に戦国ウルトラ走者団を再現しませんか。

『功名が辻!長浜曳山ファスタスロン』の要項申込はこちら ↓
http://www.sportsentry.ne.jp/event.php?tid=8875


 <走談家>      藤田 俊英 (06/01/09)





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