コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.674

◎「白牡丹 月夜月夜に 染めてほし、豊玉」、これで鬼アスロン開催か (その1)
〜歳三が行商の石田散薬、打身にとにかく効きました〜

 土方歳三の足運び、「鬼あし」をテーマにここ3年、十数本のランニング&ウォーキング行事を開催して来ました。そして、参加者と一緒になって「鬼あし」とは一体どんな足運び、だったのか、あるいは、足運びでなくて、歳三の独特な挙措振る舞いを伝えたかもしれない、とかの色々勝手な解釈に興じています。そんな最中に、豊玉と号した歳三の標記の句を知る機会を得ました。

 それで、この句を解釈している内に、今まで歳三に関して、どうも釈然絵としないで抱いていた疑問が何となく、氷解してきました。もとより、プロの歴史研究家ではありませんので、抱いた疑問も、氷解した訳も、学問的に客観的な証明がない他愛のないレベルですが、まあ皆さん、お聞き下さい。

 まずは、歳三が行商していた家伝薬、石田散薬とはどんな薬か、です。骨折、打ち身に卓効ある家伝の秘薬、と言われています。秘薬、と聞くと、大抵は、媚薬系の意味深な薬、ドラッグに似た成分も入っている感じですね。原料は、石田村のそばを流れている淺川川原でとれる朝顔に似た草で、葉にトゲがあった、その草を土用の丑の日に採り、よく乾燥させ、あとは黒焼きにし、薬研でおろして散薬にし、患者にそれを熱燗の酒で一気に飲ませる。

 これで、奇妙なほど効いた、と伝わっています。二日ほどで打身のシコリが取れ、骨折も肉巻きがしなかった、らしいのです。こんな薬、現在でも売っていれば、薬局でも大人気ですよね。ところが、現在は売っていないし、こんなに効く打ち身の薬はなさそうです。皆さん、これっておかしい、不思議に思いません。昔効いた薬が、今、売っていない。今造ると値段、石田散薬の値段が、べらぼうに高くなるのでしょうか?


 <走談家>      藤田 俊英 (05/08/21)





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