コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.628

◎石の上にも三年、カウラからシドニーまで330`RUN その8
〜ラスト25`のガイドランナーはシドニー地元のマーク青年〜
 8月7日の午前11時頃、カウラの連合軍捕虜収容所跡地から約295`、ゴールのオペラハウスまで約35`に達しました。この辺りから道路が広がり、車の数が増えてきます。今までのように、田中さんが運転するトヨタハイエースを簡単に路側で駐車させる事がシンドクなってきました。と言うことで、秘蔵の隠し兵器のトランシーバー2個を取り出し、私が1個持ってガイドランナーを務める事になりました。

 片手にトランシーバー、片手に10万分の一の地図を持って楽松師匠を先導しますが、回りの風景と地図が合いません。よくよく見ると、ハイウェイが1本地図に書き込まれていないのです。トランシーバーで田中さんと連絡を取りますが、相当距離が離れたみたいで繋がりません。そんな調子で恐る恐る2時間かかって10`進んで、ヱピング(Epping)と言う郊外鉄道の駅前に辿り着きました。

 ここに救世主、地元シドニーストレイダーズの高速市民ランナー、マーク青年が日本人お母さんと待ち構えていました。さっそく、お母さんと田中さんと私で残る25`の進み方を協議し、その結果をお母さんからマーク青年に伝えます。コースは簡単、ヱピング通りからパシフィックハイウェイに入って、どこかを経てハーバーブリッジからオペラハウスがゴールです。問題が一つ残りました。この25`間の給水給食です。

 片側3車線以上の道路が続くようで、走れる歩道が道のどちら側かマーク青年も分かりません。田中さんの伴走車を確実に当てにする事ができませんし、コンビニもないとの事で、ここはランナー3人各自が飲食物を身に付ける事にしました。それで、いよいよ最後の25`を走り始めたのが午後2時前、カウラをスタートして60時間経過していました。

 おおきなウネリ状のアップダウンが途切れません。トランシーバーは中々繋がりません。冬のシドニーの夕暮れが訪れ、ようやくハーバーブリッジの姿を確認しました。田中さんからトランシーバーに連絡が入り、ゴールでの出迎え準備完了との事です。ハーバーブリッジの歩道からオペラハウスが見下ろせます。水際のプロムナードが終わってゴールの階段が真正面に見えてきました。楽松師匠にラストスパートがかかりました。


 <NPO法人・市民歩走者学会 会長>      藤田 俊英 (04/09/13)





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