コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.591

◎土方歳三鬼あしフェスタを開催します その1
「新撰組副長、土方歳三の足は鬼のように迅かった」
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 NHKの大河ドラマ「新選組!」の放送が始まりました。主役の近藤勇を演じるのはスマップの香取君、今まで近藤勇を演じた多くの役者のイメージを完全に打ち破っています。さて、近藤勇は新撰組の局長でしたが、その局長を補佐したのが副長の土方歳三、NHKでは山本耕史君が演じています。色白の二枚目、女性にもてもての色男というセッティングですが、この歳三さんは新撰組を鉄の規律で支配した怖い怖い副長でした。

 その歳三の故郷が東京多摩の日野です。天保6(1835)年、多摩川と浅川が合流する石田地区の農家で薬屋の四男として生まれ、少年時代には江戸に出て上野の松坂屋呉服店に丁稚奉公を経験しています。青年になると、家業の農業や家伝薬『石田散薬』の行商をしながら天然理心流の剣術を修行し、近藤や沖田総司らと親交を深めました。この石田散薬は打ち身や挫きといった打撲傷に良く効く薬で、相当高価で売れたそうです。

 今でも生家の土方家には歳三が担いで行商に使った薬箱が残っています。その薬箱を担いで歳三は関八州を行商して回っていますが、とても足が速かったそうです。この歳三の足運びを長編歴史小説『燃えよ剣』の中で司馬遼太郎さんは「鬼あし」と記しています。その下りを引用しましょう。「歳の鬼あし、といえば、日野宿かいわいで歳三の少年時代を知る者なら、だれでも知っている。この男の足は鬼のように迅い」、「足の達者なものは智恵も達者、という」、「歩きだすとむっつりとだまり、眼ばかりぎょろぎょろ光らせ、独特の無愛想づらで、とっとと街道を足で砂を噛むようにして歩いてゆく」

 この司馬さんの文章に対面したのが約30年前でした。それ以来、「歳の鬼あし」がず〜と頭に引っかかっていました。2年前でした、経営コンサルタントとして土方歳三を雑誌に連載するため、日野の高幡不動尊を訪ね、境内にある歳三の銅像と対面しました。
 そして、浅川を渡って石田地区の石田寺に行って歳三の墓前に立ちました。女性が一人、先客として参っていました。一言二言を彼女と交わして、墓石に手を合わせました。その時でした、「歳の鬼あし」の具体的なイメージが湧いてきました。「歳三が薬箱を担いで行商した多摩川周辺をコースとするウルトラマラニックを開催しよう!タイトルは土方歳三鬼あしマラニック、参加者には歳三と同じようにディパックを担いで鬼あし走りを演じてもらおう!」

 <特定非営利活動法人・市民歩走者学会(CReW) 会長>      藤田 俊英 (04/01/19)





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