コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.557

◎木曽三川河口、100`ランニングで治水治山インフラを巡る その1
 5月25日、愛知、岐阜、三重の三県にまたがる木曽三川河口の輪中地帯を中心に、「歩いて走って桑名まちづくり」実行委員会が、「第1回桑名まちづくり100`&50`ランニング」を開催し、全国各地から八十人の老若男女、市民ランナーが参加しました。このイベントの開催趣旨は、「宝暦治水の薩摩義士と明治治水のデレーケ技師を偲び、洪水と人間の戦いの歴史を伝える治水治山の新旧土木構造物を走って巡る」です。

 コース途中の土木構造物を順に紹介します。スタートとゴール地点は旧東海道の桑名宿、七里の渡し近くの吉之丸コミュニティパーク、揖斐川右岸のスーパー堤防です。国道1号線の伊勢大橋から水資源開発公団の長良川河口堰を渡り、長良川から木曽川の堤防上を20`進み、長島輪中を横切ります。27`地点が木曽川と長良川を繋ぐ有名な船頭平閘門公園、デレーケ技師の銅像を見ながら、閘門のゲート上を走り、長良川大橋に出ます。

 長良川堤防中段の自転車道から海津町を横切り、揖斐川堤防に沿って福岡大橋を渡ります。養老山地の東側斜面に残されたデレーケ技師縁の巨石積み堰堤が連続する羽根谷だんだん公園を過ぎて標高6百mの二之瀬峠が50`地点です。60`を過ぎてロックフィル、の中里ダムの堤頂を約1`走ります。87`から3`、多度川河川敷の遊歩道の親水景観を楽しみ、ラスト約10`は揖斐川右岸堤防道路を南風に逆らってゴールに向かいます。

 コース100`の内、50`弱が治水治山に因む土木構造物のため、これらを所管する国土交通省木曽川下流河川事務所、水資源開発公団長良川河口堰管理所並びに三重用水管理所、三重県北勢県民局桑名土木事務所からは理解ある支援を頂けました。又、実行委員会メンバーの東京大学名誉教授の橋裕先生、大阪市立大学の角野昇八先生、デレーケを主人公とした名作「乱流」の著者・三宅雅子さんらが、コース途中でランナーを声援しました。

 中部国際空港が開港する明後年の2005年春は、薩摩義士の手になる宝暦治水事業の竣工250年記念の春でもあります。木曽三川河口、治水治山の土木インフラは世界各地から多数の観光客を呼び寄せる観光インフラにもなります。今後もこのイベントを開催し、作られた構造物を「使う技術」を蓄積し、土木構造物に観光価値を創造して、観光中部の一助になりたいと思います。
(市民歩走者学会連絡先=03−5380−8697)

 <特定非営利活動法人 市民歩走者学会(CReW)会長>
 <土木学会コンサルタント委員会 委員・幹事>      藤田 俊英 (03/06/05)





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