コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.435

21世紀初年、東京ロードランナーズクラブの成果報告です その7
〜東京シティマラソンはデザインからプロトタイプへ〜
 3月20日のランニング学会大会でパネルディスカッション「東京国際市民マラソンをデザインする」が開催されました。その模様を紹介した私のレポートです。

    当学会会長の山西哲郎は、月刊『ランナーズ誌』平成12年1月号の『ランニング 2000年への提言』の最後を締め括っています。「ニューヨークやロンドンのようなマラソン大会開催を日本で夢見るならば、ランナーが走る足を我がためから社会の足とし、社会の風となって21世紀を走り、自分も変わるが世も変えていく、ランナーが社会的存在となる思想を広げていくことが必要ではあるまいか。」

 この山西イズムを「東京都心でニューヨークのようなマラソン大会を開催しよう」とする具体的な動きに変換しようと考えました。ポイントは「ランナーが社会的存在となる思想」を客観的に表現して、それを何処の誰に対して「広げていく」か、です。機は熟していました。石原知事が東京都庁を改革しています。東京の沈滞ムードを新しい産業を振興させて払拭する、その作戦立案部署が労働経済局・産業政策室でした。

   第12回ランニング学会大会で神奈川マラソン・レースプロデューサーの三島啓三が紹介した「マラソン優勝者が翌日のNew York証券取引所で取引開始の鐘を打つ」と「エコノミック・インパクトの合計が14億7千万円也」が「ランナーが社会的存在となる思想」の客観的表現であると解釈して、産業政策室のメンバーに「広げていきました」。

 即刻に反応があり、00年7月21日に都庁大会議場で「都心で開催する市民マラソンの効用」を広める集会を開く運びとなりました。都庁と東京商工会議所とランニング学会が共催し、東京コンベンション・ビジターズビューローが後援する形の<産業振興ビジョン・シンポジウム>のテーマは、「市民がつくる国際マラソンは都市観光、産業振興の切り札となるか?〜豊かな地域力、都心の国際市民マラソンが都市観光を先駆ける!」でした。

 今回の「東京国際市民マラソンをデザインする」は、都庁のシンポジウムの続編です。6名のパネリスト、舗装工学の三浦氏からは道路を造る側の立場から、木谷氏からは東京の産業振興政策の論点から、小竹氏からは東京の都市観光振興の立場から、赤石さんからはランニング・ベンチャービジネスの観点から、青柳さんからはニューヨークシティマラソンに参加した市民ランナーの経験から、増島さんからはスポーツ・ライターの視点から、それぞれ有益なマラソン・デザインを頂きました。

 これで、山西イズムの“絵”は描けました。次は、東京のどこかで小さな国際市民マラソンのプロトタイプを一般市民の目前で演じて見せ、一陣の社会の風を起こしたい。

 <歩いて暮らせる街づくり、東京ロードランナーズクラブ>  藤田 俊英 (01/12/22)





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