コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.427

代表の宇佐美彰朗先生が「RUN&WALKな歩道整備」提唱されています その1
〜11月30日・建設通信新聞紙2面掲載/安心して歩ける道の整備を〜
 東京ロードランナーズクラブ代表の宇佐美彰朗・東海大学教授の投稿を披露します。鉄道公団駅伝大会、土木の日・東京シティウォークも紹介されています。

  「周回歩道がお手本、安心して歩ける道の整備を」  東海大学教授 宇佐美 彰朗

 最近、ウォーキングが盛況を見せ、私自身は建設関係の方々とランニングやウォーキングを通じた交流の機会が増えた。これを機会に安心して歩ける道の整備を提唱したい。

 十一月十七日、私が代表の東京ロードランナーズクラブが第二十九回鉄道公団駅伝大会に招待された。駅伝会場は千代田区皇居の周回歩道約5km、全国各地から三十六チーム・百八十人、鉄道建設公団の老若男女ランナーが桜田門の時計台に集合した。午後1時にスタートが切られ、周回歩道を五周回って約二十五kmの距離を競った。この日の周回歩道は近所の中学校野球部員も走り、麹町法人会のジョギング大会も開催とランナーで賑わっていたが、さりげなくウォーキングシューズに足元を固めたウォーカーの姿も多かった。

 十一月十八日は『土木の日』、土木学会コンサルタント委員会とランニング学会が関連行事として共催した第1回東京シティウォークに協力参加した。午前十時、四谷の土木学会に集まった四十名の参加者に、ウォーキングの小冊子を配ってセミナー講師を勤めた。思い出すと、私のランニング人生には節目節目にウォーキングがあった。その最初の出会いは、約四十年前、大学2年生で長距離ランナーとして箱根駅伝をめざした時期だった。先輩から「足の指で地面をつかむようにして歩け」と言われ、その通りに実践した。

 毎年十一月初旬、埼玉県東松山市を中心とする比企丘陵を舞台に日本スリーデーマーチが開催される。多くの外国人が来日参加し、三日間で十万人近いウォーカーが心と体の健康づくりを楽しみ、友情を育む夢の三日間だ。今年は二、三、四日の週末金土日に開催され、三日目の三十kmコースに招待された。午前八時に市立第一小学校の校庭をスタートし、暖かい日差しを浴びて都幾川・千年谷公園ルートを楽しんだ。改めて驚いたのは、小中学生の参加の多さだ。市の教育長が、金土曜日を休校にし参加を奨励していると聞いた。

 現在、日本のウォーキング人口は三千万人と言われる。二百年前、五十歳を過ぎた第二の人生を前人未踏の『日本地図』完成に賭けた伊能忠敬がウォーカーのお手本になっている。十月二十日、その第一歩を踏み出した深川の富岡八幡宮境内に逞しい伊能忠敬五十五才の銅像建立除幕式が盛大に営まれた。そして十一月十七日は全国一斉に、国土交通省が推薦する加藤剛と賀来千香子が主演の映画『伊能忠敬〜子午線の夢』が封切られた。

 日本人ウォーカーが「安心して歩ける道づくり」を唱えはじめた。英国は五十年も前に国民の要望を受けて『パブリック・フットパス(政府公認の歩行者専用道路)』を国会で決議し、英国全土に整備を進めた。日本は安心して歩ける道が極めて少ない。どうか、安心して歩ける道を日本でも整備していただきたい。幸いにも皇居周回歩道約5kmが手本となる。最新の景観デザインが導入され、照明にトイレや給水設備の充実、脚に優しい透水性舗装、信号のない歩走の連続性、お濠の水の情緒、丸の内警察署の警備が相まって世界一安全安心な歩道と言えよう。

 <街づくりランナーズです、東京ロードランナーズクラブ>  藤田 俊英 (01/12/04)





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