コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.382

天保の浮世絵師、歌川広重はRUN&WALKに東海道53次 第4幕
〜「庄野 白雨」の絵は、夕立の坂道で6人の登場人物の雨よけ姿が見物です〜
 広重53次、46番目の浮世絵が「庄野 白雨」です。有名な絵です。坂道の途中、突然の夕立に慌てる旅人と駕籠かきと地元の人が6人、描かれています。画面に向かって右から左側に上って行く構図です。坂道ですから、登りと下りで進み方の姿勢が違います。登るのは4人、絵の左側にまとめられいます。

 坂の上から順に人物を紹介しましょう。1番目はゴザを被って上っている、おそらく旅人でしょう。坂の上から強い風雨が襲っていて前に進みにくそうです。2、3、4番目は駕籠かきと客です。客は握り拳しか描かれていません。おそらく男の客と思いますが、駕籠かきの親切なんでしょうか、駕籠の周りには雨よけのカバーが降りています。この駕籠の一行は、ジワ〜と前へ上っているようです。

 5番目と6番目は、下って行く人です。勢いが感じられます。ゴザを被った人と傘を差した人です。傘をさした人は、地元の人なんでしょうか。この当たりはこの頃に夕立がよく降ることをご存じなんでしょうね。で、この傘をよく見ると、傘紙の表に、「竹のうち」と「五十三次」の字が描かれています。この広重の53次浮世絵を出版した版元が保永堂でして、亭主の名前が竹内孫八なんですね。それで、さりげなく傘紙に印した、というわけですね。

 庄野は鈴鹿川の宿場で、当時は名所や名物らしきものがなかったから、夕立の下で慌てる人物を描くぐらいしか方法がなかったんでしょうか?ず〜と時代が下がると、幕末になって有名な「荒神山の喧嘩」が宿場の北2キロほどの観音様の境内で起こっています。村田英雄さんの人生劇場の台詞に登場する「吉良の仁吉」と安濃徳の間に起こった諍いに、清水の次郎長一家が助っ人に来た・・の浪曲18番です。

 <東京シティマラソンを実践する東京ロードランナーズクラブ>  藤田 俊英 (01/08/25)





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