コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.380

天保の浮世絵師、歌川広重はRUN&WALKに東海道53次 第2幕
〜「宮熱田神事」の絵は、赤組と青組が団体競技で馬を先頭にランニング〜
 それで他のもランニング姿を描いた宿場の浮世絵があるかと、順に見ていきますとほとんどありません。まあ、有名な44番、庄野の白雨で夕立にあって慌てて走っているぐらいなんですが、歩いていない、走りに近い姿を見つけました。私なりのこじつけた見方であることを、お断りしておきます。

 42番、宮の熱田神事の絵です。有名な七里の渡しとは、今の名古屋の熱田神宮の南の「宮」から、三重県桑名の桑名城脇までの海上を繋いでいました。ですから、通常だと賑わう渡し場の様子を描くと思うのですが、渡し場の姿は桑名の方に譲っています。それで、何を描いたかと言うと、熱田神宮の馬追い神事のレースです。季節は6月21日と説明がありました。背景にたき火が2ヶ所、煙を上げています。

 この神事、赤組と青組が競っています。手前に赤を染め抜いた半纏をまとった12人の男衆、よく見ると子供が1人混ざっているようです。画面奥に青い半纏姿の男衆が24人、小さく描かれています。赤と青のどちらが優勢か、この絵では判断できません、なにせゴールが書いてありません。それでも合計36人と馬2匹が駆けている荒っぽい息づかいは聞こえてきます。当然、威勢の良い尾張弁のかけ声を飛び交っていることでしょう。

 ですが、見物人がすくないようです。背景の茶屋らしい軒下に娘さんが3人ほど他って、遠目で眺めているだけです。あるいは、画面には描けない手前の方には大勢の見物人がいるかもしれません。その中に広重も混じっていたのでしょうか。この絵の中で、赤組の先頭を切る、おそらくリ−ダーだと思います、男衆の姿が見事です。ただ一人前でなく、後ろを向いて適切な指示を与えている途中なんでしょう。

 <東京シティマラソンを実践する東京ロードランナーズクラブ>  藤田 俊英 (01/08/23)





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