コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.378

21世紀のロードイベントはRUN&WAKLが先駆けます 第14幕
〜山内一豊の妻を演じる吉永小百合はRUN&WAKLを頼山陽に八行ノ字〜
 吉永小百合に演じてもらいたい役柄が山内千代(ヤマノウチチヨ)です。山内一豊の妻として世に名高い良妻の鑑、内助の功の見本を演じられた方です。夫の一豊は、関ヶ原の合戦後、大した武功もないのに掛川6万石から高知一国24万石の大大名に出世しています。現在の高知城の大手門を入って天守閣に向かう途中に、馬一頭と和装の女性の銅像が建っています。

 夫のために黄金十枚で名馬を購った有名な逸話を基に建てたのでしょう。夫の一豊の銅像は城外の県立図書館の近くに建っています。妻が買った名馬に鎧姿で槍を持って騎乗する、惚れ惚れとする凛々しい銅像です。天正9年2月28日、空前絶後の信長の馬揃えが京の都で開催されました。時の天皇も臨御された観兵式です。一豊の騎馬姿はひときわ目を引きました。信長が叫びました。「おお、あれか、馬で知れるわ」「いや、今日は良き侍を見つけた。あの馬代に2百石を加増してやれい」

 一豊が関ヶ原でなした戦功は合戦での武功でなく、合戦前の家康への情報提供と作戦のプレゼンでした。慶長5年7月、秀頼の命により家康は会津の上杉を討つため総勢7万の軍勢を率いて、関東の地を北上中でした。その隙に石田三成が大坂で挙兵して、大坂に留め置かれていた家臣から関東に出陣中の藩主の元に、一斉に密使が使わされました。最初に大坂での報せをもたらしたのが、千代が選んだ田中孫作でした。

 孫作はおよそ6日かかって、大坂から茨城県の古河まで約600キロをRUN&WALKして、一豊に千代からの報せを届けています。この当たりの話は頼山陽が「一条ノ笠ニ繋グ八行ノ字」と詠んで有名ですが、今回は割愛します。RUN&WALKに秀でた家臣と良妻を持っていると殿様は出世する。そんな教訓ですね。千代は吉永小百合、田中孫作は間寛平が演じるのを楽しみとしましょう。

 <東京シティマラソンを実践する東京ロードランナーズクラブ>  藤田 俊英 (01/08/19)





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