コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.202

第31回NYシティマラソン、町づくるランニングレポート 第5幕
 11月3日金曜日、午前9時30分にメトロポリタン美術館に入ります。10$が入場料です。目的は2階の日本ギャラリーに展示されている歌川広重の<東海道53次>の木版画、合計16枚です。ここの美術館の展示物は、思い切り接近して鑑賞できますので、細かい描写まで堪能できます。デブっとした監視員のオっさんがいぶかしんでいますが、お構いなしで42番目の宿、桑名の<七里渡口>に見入ります。

 向かって右側に桑名城の石垣と櫓、左側に2隻づつ3つの帆掛け船ペアが描かれています。<Seven−ri Ferry at the Port,2−hour journey raising white cap>が英文タイトルですな。<raising white cap>ってのが気に入ります。ちょうど私も<YES!TOKUO>のwhite capを被っていました。

 さらに細かい説明が付いています。和訳しますと、「威風堂々の桑名のお城は、真っ青な海に浮かぶ船の乗客にとってランドマークだ」とあります。版画の青の色合いが何とも見事です。桑名城の石垣は伊勢湾の海からそそり立っています。石垣上の櫓屋根には鯱鉾が置かれ、鬱蒼とした木々が茂っています。黒の極細な筆跡で石垣の模様が見えます。セントラルパークの外周歩道の6角形ブロック蜂ノ巣状舗装とうり二つな石垣の積み方です。

 広重がこれを描いた1832年は、米国に産業革命の嵐が吹き寄せた頃です。ボルチモアとオハイオの間に大陸横断鉄道が敷かれていますが、西海岸のゴールドラッシュは、まだまだ先の話です。ところで、桑名の<七里渡口>の構図は、一体現在の桑名のどの当たりから見た風景なのか、探ろうとしましたが、一向にわかりませんでした。もしかしたら、今の九華公園入り口にある、桑名慶長の町割りの立役者・本多忠勝の銅像が立っているあたりなんでしょうか?

 < NYマンハッタンを走り屋道楽衆 街づくりランニング商会 藤田 俊英> (00/11/12)




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