コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.175

高橋尚子がアーバンツーリズムを先駆ける、ボールダー集客走談 終幕
 今年5月29日の月曜日、米国は戦没者追悼記念日で祝日です。コロラド州のボールダー市は雲一つないコロラド晴れ、朝7時30分から4万4千人以上の市民が参加する<10キロロードラン>が開催されます。56にウェイブにランク分けされた集団が順次スタートします。我が集団は8時36分30秒にスタートしますが、いきなり歩き出す参加者が大半です。小学校低学年くらいな子供連れも混じっています。

 10キロのコースは市内目抜き通りをジグザグに折れ曲がります。いたる所に素人バンドが音楽を掻き鳴らしたり、怪しげなダンスをご披露しています。演奏するジャンルの幅が広いんですね、さすが人種のルツボです。ローリングストーンズやビートルズだけを鳴らしているオジサン&オバサン。バンドもえらく人気を集めています。

 ゴールはコロラド大学ボールダー分校のフォルソム・スタジアムです。90分あまりかかって、アメリカンフットボールのフィールドにあるゴールに駆け込みます。2箇所の大型電光掲示板には、次々とゴールインする市民の姿が映し出されています。ランナーのご家族とランナーでスタジアムは超満員ですね。ゴールして、弁当と缶ビールをもらってスタジアムの観客席でパクつきます。11時になり、競技終了です。

 フィールド内が一変します。追悼式のセレモニーが開始です。大空からパラシュートが降りてくる。儀礼兵が音楽を鳴らす。ランナーが映っていた電光掲示板には、荒波を蹴立てて進む航空母艦、編隊を組む戦闘機、突進する戦車・・のリアルな映像に変わっています。全員起立して米国国歌の斉唱が始まります。美しい光景です。斉唱の最後、4機のダイヤモンド編隊なジェット機が轟音を轟かせて、4色のラインを大空に描きます。4機の標的は何だったんでしょう。

   翌日の<デンバーロッキー・マウンテンニュース>紙の一面は<10キロロードラン>のスタートのカラー写真がデカっと飾りますが、大見出しの文面はそうじゃ〜ありません。都市観光、集客産業、アーバンツーリズムな話題です。「コロラド州は旅行者を標的とする/観光客を集める300万$の広告キャンペーンを打つ」、IT産業で全米の覇都となったコロラド州の次の標的は、世界中からの観光客なんです。

 <都市観光を先駆け/アーバンツーリズム走談 走り屋・道楽衆 藤田 俊英> (00/09/12)




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