コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.137

夏休7月21日、都庁大会議室<都市観光>シンポジウム 第9幕
 7月21日の午後2時20分、東京都庁大会議室の舞台の上で、「NYシティマラソンの経済効果(Economic Impact)は120億円です」と話します。もっと詳しい経済的数字とかレース出場者の学歴、職業、年代、国籍、完走タイム・・を紹介するつもりでしたが、見送りました。一番伝えたかった事実を紹介します。

 大会運営には13,315人のボランティアが参加しています。大した人数じゃあありません。警察が2,828人参加しています。これも大した数字ではありません。ただ、NYRRCが、当日非番の警官を制服制帽に拳銃付きでアルバイトとして雇用したのが2,828人と言うのが、日本では絶対に考えられないNYマラソンの舞台裏です。非番の警官が制服制帽で拳銃付けて、アルバイト料をもらってNY市の産業振興、都市観光の発展に役立つ。そりゃ〜警官も嬉しいですよ、だから大会当日の愛想の良い事。

 私の基調講演<NYマラソンの魅力と経済効果>の〆は、昨年11月に発刊された<産業振興ビジョン・中間のまとめ>を使いました。会場の入り口で配布されたランニング学会の封筒に入っていた資料です。この労働経済局作成の資料に、民間から応募された133の政策提案から選定した18の事例が紹介されていて、その内にNYの先端事例をそのまま東京に当てはめた2事例が目を引きます。

 一つは私の<東京国際市民マラソンで都市観光世界一を目指す>、残る一つは<ネット企業クラスターの発展に向けて〜ビットバレー発の提言〜>です。この提案にNY市マンハッタンのシリコンアレーの事例が紹介されています。行政が家賃軽減など様々な支援策によりネット企業の集積を高め、経済活性化に成功、雇用が一年で倍加するなどの効果が上がっています。

 街に雇用が発生し、優秀な人材が集まり、お互いが煩雑に交流を始めると、コミュニティが変化します。目で見える顕著な変化、それを昨年8月2日の読売新聞が「変貌するNY」と言う見出しの記事で紹介しています。<マンハッタン・ミッドタウンの9番街と言えば90年代初めまで麻薬業者がたむろしていた地区だが、今は・・小綺麗なエスニック料理店が軒を並べ、深夜、女性がジョギングする姿も珍しくない>

 女性ランナーが街角に姿を見せる街は、産業が振興していて、優秀な人材が集まっていて、治安治世に優れ安全安心だと言えます。逆に言うと、今は産業が振興して、優秀な人材が集まって、安全安心であっても、女性ランナーが走りらない街は、やがて幸福の女神が走り去って、その街は廃れるのではないでしょうか。産業を興すのは人間、その人間は動物の延長です。動物なら、<動く物>でいることが当たり前の世界、いつまでも自分で動いて自分の世話をする。そのために日々のジョギングがあり、一年に一回は目抜き通りをブチ抜いて走るシティマラソンがあります。

 <産業振興ビジョン・シンポジウムが初舞台 走り屋・道楽衆 藤田 俊英> (00/07/26)




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