コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.120

サロマ湖のウルトラ100キロ、<ヒマワリ大作戦>な32人駆け(7)−当日5報−
 残り10キロ、6分ペースで行くと10時間台でゴールできると神様になりかけの自分が囁きます。「よ〜し、やったろかい」と駆け出しますが、ものの2キロも進んだでしょうか、ピタっと脚が止まります。西瓜の茶店が見えています。折り返しに向かうランナーで茶店の前は、人垣ができています。

 あまりの暑さで水気を求める回数が増えて、茶店の水が干上がっています。西瓜を口にしていると、補給車が来て水が満杯なポリタンクを運んで来ます。ボランティアの高校生がテキパキとカミコップに水と氷を満たして行きます。それにしても、後続する仲間となかなかすれ違いません。両手にコップを手にして、ノコノコと歩いていますとやってきましたよ、目立つ黄色のTシャツの明走会の仲間たちが。

 95キロ地点を越えます。ゴールまで歩いても1時間だと思うと気持ちに余裕が湧いて来ます。すれ違うランナーにも愛想の良い顔で、声援を送っています。だんだん神様になっていますね。放心模様の3人の仲間とすれ違うと、向こうから収容車がソロソロっと近づいて来ます。この暑さで、予想以上の途中関門リタイヤな方々が増えているようです。

 時折りヨロヨロのランナーに追い越されます。体の痛み具合は私以上ですね。片足を引きずりながらのランニングに、歩いている我が身が情けないとは思いません。ウルトラの完走スタイルは各人各様で、歩きを挟みながら気楽な行進も芸の一つです。行きの80キロ地点を越えます。もう途中タイム計測器具も片づけられています。さすがに、終わりが近づいてきた興奮がわき上がります。

 原生花園の入り口の茶店で最後の給水と給握り飯を詰め込みます。もうあと2キロ少々をボチボチでも走り通す覚悟です。午後4時を過ぎて、ソロっと走り始めます。焦る事はありません。オホーツクからの風が強く、目に浸み入ります。道路の一直線の延長はるか彼方に、ゴールらしきザワメキと人影を感じます。ラスト1キロ、道の両側から多くの声援が飛びます。大丈夫、キッチリ格好良くゴールを飾って見せますよ。大音響を掻き鳴らす高校生のブラスバンドがの前を通過して、最後の100m!

 11時間18分・・でゴールです。完走メダルを首に掛けてくれます。1リットぐらいの氷の入ったビニール袋を手渡されます。これで暫し、両脚の足首と膝をアイシングです。よくよく我が身を見ますと、胴回りはスタートの朝よりも、一回り脹らんでいます、よく食べて、よく飲んだ100キロでした。食券を握りしめて、ホタテ丼の屋台に向かいます。これからの完走パーティと宿舎での宴会への備えが重要です。

 <ワッカ原生花園彷徨、サロマ湖100キロウルトラン 走談家 藤田 俊英> (00/07/01)




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