コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.119

サロマ湖のウルトラ100キロ、<ヒマワリ大作戦>な32人駆け(6)−当日4報−
 1キロ歩いて12分、4キロ走って28分と5キロ40分のペースで浜佐呂間の町並みを抜けます。この当たり、私設エイドステーションが用意されています。その中でも特大級のテント張りの前で、世界的ウルトラランナーの海宝道義さんが大声で呼び込みを披露しています。昨年6月のシマナミ海道100キロ遠足でお世話になりまして、「やや、藤田さん、まま、どうぞ」と熱いタオルで首筋を拭いてくれます。

 テントの中は高校生とひと味違うオバさんが愛嬌たっぷりで、甲斐甲斐しく熱いお茶をサービスしてくれます。やっぱり母なる女性のご馳走は、元気が湧いてきます。少し進むと、庭先の小振りな茶店を見つけます。何が置いてあったか記憶が戻りませんが、小さな兄妹が精一杯の愛嬌を振りまいています。「頑張ってネー、ランナーのオジさん」とやっぱりオジさんですね。

 70キロを12時30分頃の通過です。湖岸道路を北上し、常呂町に入ります。左前方にワッカの遠方が望まれます。水平線に沿ってベタっと青い帯がへばりついています。後方から、「藤田さん、お汁粉まで走ろう」とスパルタスロン224キロ完走した岡崎さんが、追い抜き際に気合いを入れます。「汁粉だ、汁粉や」とブツクサ言いながら75キロの東急リゾートに駆け込みます。

 汁粉1杯、梅干し2個、レモン半分、コンソメスープ1杯、氷水2杯、頭から柄杓2杯の冷水を補給して、5キロ東方の80キロ地点、そこは原生花園の入口へと進みます。4キロの走りが30分に低下しています。午後1時前後、<ところ遺跡の森>の4千年前の縄文文化の香りに全く気づかず、「ワッカ原生花園」入り口に、やっとこさで辿り着きます。

 実は、100キロのゴールは、この入り口からわずか2キロ先なんです。今しも、森の中からおそらく9時間以内でゴール出来るランナーが、道の向こうから近づいて来ます。すれ違いざまに、無言で健闘を讃え合います。「ワッカ原生花園」を18キロ走り通した走者に、ワッカと言う<生命の泉>が湧き出すサロマの感動満開!

 <退職前のひとっ走り、サロマ湖100キロウルトラン 走談家 藤田 俊英> (00/06/28)




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