コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.110

女<ロッキー>な弘山さん、サニタス山で両手を掲げる
 6月11日から、BS映画劇場で<ロッキー>シリーズを放送しています。ご存じシルベスタ・スターローンとタリア・シャイヤが夫婦役で主演しています。第1作が77年の制作、カーターが大統領の時代の米国には、今のITな元気は全くなかった頃です。フィラデルフィアの町並みは車道も歩道もガタガタの有様で、すさんでいます。そんな町並みを、ストーリーのクライマックス、ボクシングの対決シーンに至る手前で必ず、ロッキーのランニングシーンが象徴的に挿入されます。

 主題歌が流れ、廃墟のような街角から市中心の高台の何とか言う有名な建築物の前で両手を高々と掲げます。ロッキーの走りは、腕降りがシッカリとされた市民ランナーの手本です。フィラデルフィアって、日本の京都や奈良みたいな位置づけの街なんでしょうね。合衆国の古都って感じを持っています。やっぱり、修学旅行の学生さんがゾロっと観光するんでしょうか。そんな馬鹿な古都は、米国人はしないでしょう。

 高倉健さんが、五輪の射撃代表役で主演した「駅」の冒頭シーン、雪の原をジョギングしています。メキシコ五輪の開催年、1月9日でした。円谷幸吉選手が、「もう走れません」の遺書を残します。この事実も劇中で巧く挿入されて、その遺書の朗読がバックに流れます。増毛の漁港をジョギング中の健さんに、ナナハンに乗った宇崎竜童が絡むシーンも、明瞭な記憶で残っています。今日のNHK「昼どき日本列島」は、この増毛の駅前から中継していました。「風待ち食堂」のロケ先が観光名所に化けています。

 昨夜の<ロッキー4>は、崩壊直前のソビエト連邦のリングで死闘を繰り広げました。やっぱり、大雪原を走って山の頂上まで駆け上がり、両手を掲げるシーンが格好よかった。1作ごとに、女将さん役のタリアさんは美しくなって行きます。

 五輪のトラック1万mの女子代表に決まった弘山晴美さんは、6月末にコロラドのボウルダーにトレーニングに行くそうです。そこの、サウスボウルダー・クリークと言う小川があって、ミシシッピー川に合流します。そのクリークに沿った専用歩道が世界の一流アスリーターの心を癒します。上流に上ると、サニタス山と言う岩山を巡るトレールがあります。頂上から、デンバーの高層ビル群が見渡せます。

 弘山さんも、ロッキーみたいにサニタス山のテッペンまで駆け上がり、両手を掲げて五輪への闘志を確実にするかもしれません。

 <走り屋・道楽衆 ヘルシーアスリーター家康研究家 藤田 俊英> (00/06/15)




前のページへ戻る