コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.076

オレゴン・フッドツーコースト駅伝、祭り装束法被旅心 その19
 ポートランドのダウンタウン、和食レストランで打ち上げです。疲れと寝不足と時差ボケ、これに緊張感の緩みが加わって頭はモーローとしてます。この打ち上げの様子はよく覚えてません。ビールと酒が体中を回ります、「グッドジョブ」を成し遂げた開放感なんですかね。パイオニア・コート・ハウスのイタリアンなお祭りが気になって仕方がないんです。

 飲食後の皆さんはカラオケに行くと行ってますが、遠慮してイタリアンに駆けつけます。やってますね〜、広場は大観客で大賑わい。取りあえずビールを買って、ステージのまん前に割り込みます。イタリアン音楽、カンツォーネがコテコテな生演奏中です。イタリ本国の有名な男の歌手が唄っているらしく、大声援の渦の中でビールが回って来ます。女性歌手に交代します。エキゾチックな容姿に、よく通る声です。

 そう言えば、35年ほど前、日本でカンツォーネが大流行しました。サンレモの音楽祭に伊藤ゆかりが出て入賞したとかどうとか、ジディオラ・チンクゥエッティーなんて言う娘さん歌手が来日して大騒ぎになっていました。突然頭の中に、森山加世子?の「月影のナポリ」が甦ります。ハナ肇とクレージーキャッツのギャグを思い出します。「な〜ポリー!」と言った谷啓を、植木の警官が追っかけ回すショームないコントでした。布施あきらも、若かりし頃で、カンツォーネを唄ってましたね。

 ステージから離れた階段に腰掛けて、当たり一面の大騒ぎを焦点の定まらない目で眺めます。太平洋の東岸のシーサイドでは、まだまだ駅伝ラスト、チーム全員総駆けゴールの感動感激・・が延々と繰り返されているんでしょう。目の前のイタリアンなお祭りと言い、300キロの駅伝と言い、高々150年ほど前のオレゴン州を打ち立てた祖先を偲ぶメモリアルなイベントだと分かりました。

 祖先が創った道路とパークの有り難さを、年に一度、我が身で体感するグッドジョブなオレゴン・フッドツーコースト駅伝、「自分たちのことは自分たちで、あなた達のことはあなた達で」、自前でやりましょう。「Do it yourself!」と「Good Job!」、これがオレゴン魂の根幹でした。

 <オレゴン駅伝は「月影のナポリ」 走り屋・道楽衆 走談家 藤田 俊英> (00/04/09)




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