コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.074

オレゴン・フッドツーコースト駅伝、祭り装束法被旅心 その17
 最後の36区間、和田がロリから鈴縄を受け取って走り出します。黒と黄色の縦縞のタイツに白いTシャツ、羽織る土佐山田の法被の背中は那須の与一が弓を引き絞っています。中継所から1マイルの峠の上り坂で、2号車が和田を抜いていきます。残り3.7マイル走る内に、シーサイドの街に着いて、砂浜に設営されているゴール地点に行って、和田のフィニッシュと一緒に雪崩込まないと、何のための36区間、300キロの走り繋ぎか!と、気が焦ります。

 街の駐車場に着き、一団で海岸に向かいます。街と砂浜を分ける防波堤で、1号車のメンバーと再会です。ロリが高橋母娘と一緒に歓声を上げています。和田はまだです。砂浜を歩いて、ゴールエリアに向かいます。10人が法被姿、坪山1人が半纏姿に捻り鉢巻き雪駄履き、何となく強面な集団に回りも敬意を払っているようです。少し離れた所の仮設ステージでは生バンドが地中海系の音楽を演奏しています。

 柵の前を他チームのアンカーが時折、ゴールしていきます。その度に、ゴール周辺は大騒ぎです。それにしても、和田は見えませんね。遠くの防波堤の一点を見つめます。ここにランナーの姿が小さく見えて、ゴールまで1分間くらいなんですが。

 通算27時間と40分を回っています。坪山がイライラしています。チラっと見えましたよ、頭だけが。スピーカーが我々グループの名前を告げました。もう大丈夫!全員揃っての感動のゴールが出来ます。柵の隙間に並び、和田を待ちます。和田が両手を上げて、声援に応えています。そんなことせんと、ハヨ来んか。

 27時間46分41秒、全員揃ってゴールに雪崩れ込み。完走メダルを貰って、記念写真に収まってとセレモニーが終わりました。誰言うことなく、波打ち際に向かいます。雲が低く立ちこめて、遠くの岬の頂上は雲が被っています。スッゴイ波です。

 <オレゴン駅伝は地中海系音楽がお出迎え 走り屋・道楽衆 走談家 藤田 俊英> (00/04/07)




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