コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.073

オレゴン・フッドツーコースト駅伝、祭り装束法被旅心 その16
 33中継所に着いて、私の合計4回のステージが終わりました。正直、ホっとします。大それた冒険ではありませんが、1人でも故障するとその分誰かに負担をかけます。2号車に向かう途中、名物の騎馬警官が愛嬌を振りまいています。警官と言うより、保安官がピッタリの姿です。馬の腹より大きいお腹の保安官でした。

 空一面が雲に覆われ、走るのに好い天気です。太陽がカっと照ってると、寝不足の身に堪えますが、今年の太陽は遠慮してますね。4.2マイルのイージーコース、鈴の音が小気味よいリズムを演じます。34中継所、小泉からロリに鈴が手渡しされます。ラスト前の35区間、6.7マイルのハードコースをミシガン娘がすっ飛ばします。全然疲れてませんね、このヤンキー娘は。

 36中継所、ラストランナーはヨレヨレの和田です。昨年の峠を越える4.7マイルは私が飛ばしました。シーサイドの街中に入ると、そこそこから「グッドジョブ」の大声援がこだまします。調子に乗って、海岸の砂浜にあるゴールに一目散!「まっま待てよ、ゴール手前から20mはメンバー全員で走って、一団でゴールやなかったか」と思いだしましたが、その全員が控えてなかったんです。

 係りのおっちゃんが、「早う、ゴールせんかいな」と睨んでいましたから一人でゴールしました。回りの皆が怪訝そうな視線を送ります。他のチームは、全員一団で歓声を上げながら感動のゴールです。それに引き替え、私は1人で12人分の完走メダルを手からぶら下げて、記念写真を取られることもなく、柵の外に出て途方に暮れて仲間の来るのを待っていました。仲間が来ました、私の姿を見たら一目瞭然です。5人の大和娘たちが、一斉に泣き出しました。

 この貴重な体験から、今年のラストランナーを普段全然走っていない和田にしました。「ええか和田、絶対に飛ばしたらあかんで」と言い聞かしますが、端から飛ばす気なんか和田は持ってませんでした。

 <オレゴン駅伝は騎馬保安官が愛想良い 走り屋・道楽衆 走談家 藤田 俊英> (00/04/05)




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