コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.056

オレゴン・フッドツーコースト駅伝、祭り装束法被旅心 その3
 大事な話を忘れてました。空港からポートランド市西郊外にあるナイキ本社を見に行ったんです。タイガーウッズのキャップに点いている波形マークのナイキ本社ですよ。そりゃ、知的創造に長けた方々が勢揃ってます。と言うことで、頭脳ワーカーを支えるインフラストラクチャーを、しかとこの目で見てきました。  当然、アポなんか取ってません。オースティンのド厚かましさが頼りで、いやいや期待に応えて呉れました。本社と道を挟んだコンビニの駐車場から、時差ボケい寝不足な日本人8人がぞろぞろっと、オースティンに続きます。この本社の敷地が広い、ざっと1キロ四方です。正門に着きました、頭上に歩道橋が架かっています。いぶかしんでいる守衛にオースティンが英語でまくし立てています。

 「建物の中に入らないで」の許可です。世界中の国旗ポールが立っています。赤い花であしらわれた玄関前の西洋庭園の回りの建物には、かっての著名なアスリーター名がかざされています。Alberto Salazarビル、てな具合に。建物脇の廊下から中庭に出ます。ぐわーっと視界が広がります。大きな池の回りの芝生にベンチが置かれ、老夫妻が寄り添っています。昼間から、ええ歳をして何してるんだと近寄ると、銅像なんですね。

 名物の敷地回りジョッギングコースを見るため、一端正門から外に出て裏門に向かいます。相当な距離を歩いて着いた所に、あったあったよジョッギングコース。ただし、ランナーの生身の姿はなく、銅像のランナーがどうぞ!と置いてありました。適度な上り下りに左右の曲がり、木製チップ舗装は足に優しく、照明はつま先の高さに5M置き。延長4キロのコースは、敷地の外からは見られにくい工夫を感じます。

 これが、創造性で多額の成果所得を稼ぎ出すワーカーにとっての知的インフラストラクチャーなんですね。経営者は、「所定時間内を脇目も振らずに働け」なんてアホなことは要求しません。「いつでも、気が向いたら走って下さい、自転車を漕いで下さい、汗を流して下さい・・それでリフレッシュして創造性の高い業績を上げて下さい」ですね。別にスポーツ関連会社だからジョッギングコースでなく、ビルゲなマイクロソフト、シアトル本社もこんなエアロビクス・インフラを備えています。

 裏門の上のジョッギング歩道橋から、広大な芝生のグランドで約十名が野球に興じているのが見えました。

 <アメリカン・オレゴン駅伝を活きな走り屋・道楽衆 走談家 藤田 俊英> (00/03/18)




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