コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.050

ブリスベーンなウォークウェイ、天下一品の使い走りこなし
 98年7月9日宵闇、ブリスベーン川の真っ黒い川面に南半球の満月が映り、それをカヌーがかき乱して行きます。パース、アデレードに比べ、ブリスベーンの地は日本人の姿を多く見かけます。この川の印象が隅田川とよく似ています。川幅、黒い水に架かっている橋の佇まい、ただ橋の本数は少ないのですが、これが夜間になると、キッチリした照明に照り映えて、淑女の艶っぽさを醸し出します。

 川辺にそってジョッギングロードが見事に整備されています。City地区からビクトリア大橋を渡ってSouth Bank地区を過ぎ、キャプテンクック大橋の下をくぐってクリフ・ボード・ウォークウェイが続きます。自転車、インラインスケート、ジョッギング、ウォーキングとエアロビックなエクササイズを愉しむ市民のスリムアップな肢体に脚線美が黄色いナトリウム照明の中で躍動しています。

 ウォークウェイは川面と断崖の狭い隙間を縫って進みます。よじ登っていますよ、断崖絶壁を。完全なスポーツですね、断崖途中でしがみ付いている子供を、親父さんが下から助言しています。行く手に一段と照明がきついストーリー大橋が現れます。吊り橋の姿が優雅です。うっとりしますね。橋の歩道面まで、急な階段を上って行きます。橋の中央に来ました、川の上流にCity地区の見事な夜景が広がります。

 豪州な国は、地下資源と農産物は自信を持ってますが、工業製品を作るとなるとからっきし駄目なんです。でも街づくりに橋・道・公園・鉄道とかは上手に作るんですね。その自信が、毛羽立つ夜間の照明を土木構造物に当てる演出になるみたいです。「私ら豪州人は、土木構造物を作って、それを使いこなすのは天下一品でっせ」

 クィーズモール脇のマイヤーセンター地下で、ナイトショーのハリウッド製ゴジラを鑑賞します。都市を巡りつつ3回目のハリゴジ、NYのブルックリン大橋を駆け抜けるシーンは、京の五条の橋の上、牛若丸と弁慶の出会いを思い出させました。劇中で重山規子似の女優が、テレビでハリゴジが絶命するのを見て、立ち上がって歓声を上げますが、なぜか桃色の着物を羽織っていました。この着物が気になってました。

 <豪州「ゴジラ:Godzilla」牛若丸 走り屋・道楽衆 走談家 藤田 俊英> (00/03/11)




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