コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.032

四万十川100キロ、持続可能な走りは炭水化物がサスティナンス
99年10月17日は、土佐の高知の四万十川ウルトラマラソン100キロの部に参加しました。朝5時30分に中村市の蕨岡中学校前を1200人のランナーがスタートします。未明の道には、篝火の灯りが続きます。なんせ長い道のりですから、ゆっくりと走り続けます。スタミナが持続可能なように、昨日から炭水化物を体内に詰め込んでいて、スタート直前にもバナナとお握りとバームを補給しています。

 コースには、5キロごとにスポーツドリンクやバナナや飴に梅干しが用意され、20キロごとにお握りポイントが設置されています。ですから、普段の日曜日よりも食事にありつける回数が多いわけです。出走後は腹一杯でも、このコースは最初のお握りポイントの21キロまで登りが続きますので、2時間走った峠のお握りは格別の物です。こんな調子で食って飲んで走って、11時間30分でゴールすると体重が朝より増えているんですね。

ゆっくり走っている時、体は有酸素運動状態で、多量の酸素がゆっくり脂肪を燃やしています。ただし、炭水化物が必要です。ローソクが燃えるのを思い出して下さい。芯がないと、ロウの油だけでは燃えません。この芯が体内では炭水化物なんです。脂肪と違って、体内に多く貯蔵できないのです。途中でお握りを食べたりして炭水化物がある限り、ランニングは持続可能なんです。

正式なマラソン大会は、食べ物の補給は認められていません。液体ドリンクの補給だけで走り続けます。よく言われる30キロからの壁とは、炭水化物が切れた状態、ローソクの芯だけが燃え尽きた状態なんです。脂肪はたくさん残っているのに、ランニングが持続可能にならないのです。スタミナがプッツン切れるのです。こんな時は、とにかく炭水化物を口にします。バナナ、お握り、カステラ、パン・・と飲み込んでしばらくすると、体の中から元気、スタミナ、気力の源が湧いてきます。ランニングが持続可能になります。生命の神秘を実感できますね。

と言うことで、持続可能を長々と走談してきました。ランナーの持続可能は、炭水化物と言うsustenance(栄養物)が鍵を握ります。

 <ウルトラマラソン100キロ走って太る・走談家 藤田 俊英> (00/02/20)




前のページへ戻る