コラム道楽衆:「走談家・藤田の胸算用」 No.020

子供の教育の鏡、二宮金次郎の里山は、学校ビオトープが「報徳仕法」
 96年5月の黄金週間が終わって、小田急線の栢山駅から二宮尊徳記念館に向かいます。一泊2日でミズノが主催するランニング講習会が始まります。クラブ・ランバードのメンバーが先生になって、早く走る学校を開催します。記念館の常設展示室では、約1時間で尊徳の生涯と事業内容をアニメ画像や人形等でわかりやすく展示しています。

 小学校の築山、池の端に「二宮金次郎の銅像」が薪を背負って本を呼んでいます。あのか弱い金次郎は、成長して身長180cm、体重80kgの大男になり、各地で藩や幕府から見込まれて、疲弊した地域の復興を自腹を切って邁進しました。NPOの先駆けですね。「報徳仕法」、「績小為大」、「分度推譲」の精神は今も健在です。

 講習会の実技指導は、酒匂川の河川敷を走ります。金次郎が植えた松並木が堤防道路脇に繋がります。絶え間ない川の水音が心地よく、ビルドアップ走のトレーニングの効果を刺激します。薪を背負って本を読むだけで、あの体格にはなりません。以外と金次郎はアスリーター、草鞋履きで酒匂川の河川敷をジョッギングしていました。その合間に、菜種や米の手入れに励んでいました。

 講習が終わって、戦前の修身の教科書で喧伝された涙の報徳物語、金次郎が励んだ菜種畑と田圃の跡を訪ねました。コンクリートブロックで固められた護岸を持つ小川が流れています。このあたりは、金次郎の時代にはもっと素朴な自然の風景と生き物と水辺が豊富な学習の場所だった。

 学習の場に、人工的に動植物が生息できるような環境を創り出すビオトープ空間が各地で誕生しています。学習の場とNPO精神と行政の理解支援と起業の協賛と周辺住民のアスレティック参加がムーブメンタルに連携して、次代を担う子供たちに正義感、倫理感、思いやりの心を育みます。

 三重県の津市の小学校のそんな事例を基に、「都内の学校に四百のビオトープ池を創設し、「心の東京革命」を推進する」と名付けたチャレンジプロジェクトを提案しました。金次郎の銅像は、ビオトープな空間にジャストフィットします。背負う薪ぐらい小学校の自前の林から集めましょう。

 <ビオトープ池と「心の東京革命」・マラソン走談家 藤田 俊英> (00/02/03)




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